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【ネタバレ無し】『映画 HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』がめちゃめちゃ面白かったのでみんなに勧めたい

昨年の2018年10月に公開された『映画 HUGっと!プリキュアふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』がめちゃめちゃ面白いという話をさせてくれ。

 

本当、めちゃめちゃ面白かったです。昨年観た劇場映画38本の中で第3位に君臨するほど面白かったです。プリキュア版『アベンジャーズ』もしくは『エクスペンダブルズ』かな? と思えるくらい激アツのアクション&物語&オールスターのお祭り感で大興奮。歴代プリキュアひとつも見たこと無いのに、ちょっと泣きそうになるくらい、15年の集大成と言える傑作でした。嘘です。実際、泣きました。子供が横にいる中、泣きました。その余りの面白さと、娘と鑑賞した記念すべき作品なのでDVDを発売日に購入。これは手元に置いておきたい! 一生モノの思い出だ! という衝動と情熱が溢れました。それだけの魅力が本作にはギュギュっと、否、Hugっと詰め込まれていました。

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生まれて初めて発売日にDVDを買いました。

では本作の何がそんなに面白いのか。今回は、本作の魅力をネタバレ無しで皆さんに一方的にお伝えします。

 

●アクションが笑っちゃうくらいすごい。
プリキュアと言えばアクションです。そもそも、15年前にプリキュアが企画された時「女の子だって暴れたい」というコンセプトから始まったらしいです。そんな狂ったコンセプトで15年も愛されるシリーズが産まれるのだから、世の中何が正解か分かりませんね。本作もそのコンセプトは変わらず、可愛い女の子たちがめちゃめちゃ肉弾戦を繰り広げます。女児向けアニメだと侮る無かれ、そのアクション作画は大人向けアニメに劣らぬほどに派手で、脳にバンバン響きます。キュートなキャラクターがドラゴンボールみたいな肉弾戦を繰り広げる、このギャップがたまりません。変な脳汁が出います。最高。これこそがプリキュアの魅力。それでも女児向けコンテンツなので、えげつない描写は無く、あくまでポップでキュートな肉弾戦。この絶妙なバランス感覚は15年間で培われたモノだと思います。そしてなんと言っても、大技の迫力も忘れてはなりません。その迫力は思わず笑ってしまうほど。女児向けアニメで、これだけ迫力のある技を繰り出す必要があるのだろうか? と思うほどド派手です。特に本作は、歴代のプリキュアがそれぞれ大技を繰り出すので最高。初見の時は思わず「やったぜ」と思いました。

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これはTVシリーズの映像ですが、こんな迫力の大技がバンバン出てきます。

●悪役の描かれ方がすごい。
本作に出てくる悪役は1人だけです(冒頭にかませ犬的なエヴァに出てきそうな敵がシン・ゴジラみたいに登場しますがメインストーリーに関係ないので省略します)。1人にしたことによって悪役を深く、そして魅力的に描けています。悪役がしっかり描けている作品が名作なのは周知の事実、故に本作が名作であることが伺い知れると思います。しかし本作の素晴らしさはそれだけではありません。最終的には悪役に感情移入してしまいます。悪役がなぜ悪事を働くのかが分かった瞬間、え、お前、そんなの、マジかよ、そりゃそうなるわ・・・という感じで、感情移入してしまいます。悪役が憎めなくなってしまうのです。憎めない悪役が出てくる作品が名作なのは周知の事実なので、やっぱり本作が名作なのは間違いないです。

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悪役「ミデン」 その動機に思わず胸が締め付けられます。

●主人公のキャラクターがすごい。
憎めない悪役が名作の条件であれば、愛される主人公もまた名作の必須条件です。その点、本作の主人公は非常に魅力的です。本作はオールスター映画ではありますが、基本的には『HUGっと!プリキュア』というTVシリーズの映画化なので、主人公は『HUGっと!プリキュア』の野乃はな/キュアエールになります(正確に言うと『ふたりはプリキュア』とのダブル主演ですが)。この主人公が素晴らしい。野乃はなちゃんは「イケてるお姉さんになりたい」「なりたい自分になりたい」という夢を持つ13歳。絶望的な状況や、挫けそうになった時に「こんな(挫ける)のは、なりたい私じゃない!」「フレフレ!私!」と自分を鼓舞します。自分のメンタルを自分で回復出来るすごい子です。この前向きっぷりは僕も見習いたい。そんな主人公がキュアエールに変身し、悪役と激闘を繰り広げるのですが、悪役の内情が分かるにつれ、エールちゃんが取る行動が素晴らしいです。このキャラクターを象徴している行動、そして作品のテーマを反映させたパーフェクトな展開で、僕は思わず泣きました。本作を見たら誰だって好きになる。僕もこれから挫けそうになったら野乃はなちゃんを見習って「フレフレ!私!」て言おうと思います。娘にもこの心/姿勢を伝えていきたいです。

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元気のプリキュア キュアエール みんなも自分も応援します。

●応援がすごい。歴史的なすごさ。
プリキュアの映画には、観客にプリキュアを応援させるシーンが出てきます。幼児を飽きさせない演出として、それだけでも個人的は素晴らしい演出だと思うのですが、本作の応援シーンは、もう、本当、歴史的な素晴らしさです。オールスターズ作品として、15周年作品として、これ以上の演出はあり得ないと思えるほどベストです。映画館で観た時は感動で泣きそうになりました。娘と一緒にミラクルライト(映画館で子供に配られるおもちゃ)を振りながら応援した思い出、そして劇場がミラクルライトの光で一体となった光景は生涯忘れる事が無いでしょう。もちろん、DVDでもこの演出の凄さは感動出来ると思います。

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僕も娘と一緒に応援しました。泣きそうになりながら。最高に楽しかったです。

●主人公を演じる声優、引坂理絵さんの演技がすごい。
劇場鑑賞時はそこまで思わなかったのですが、DVDで再見して、引坂理絵さんの演技、すごいなって思いました。主人公の言動の説得力を120%高めた、まさに主人公と同化したような熱演です。主人公を象徴する台詞の時の凄味と、格闘シーンなど動きのあるシーンの演技と、語りかける静のシーンの演技との緩急が本当にすごいと思います。それが露骨だとキャラクターを殺してしまうと言うか、引坂理絵さんそのものになってしまう事が多いと思うのですが、あくまでも野乃はな/キュアエールであることを活かした演技なのが凄いなと思いました。この演技が作品の魅力を高めているのは間違いないですし、僕が本作で泣いた原因の6割くらいは引坂理絵さんの演技力のせいだと思っています。

 

以上、ダラダラと書いてしまいましたが、少しでも本作に興味を持って頂ければ、鑑賞してくれたら、これほど嬉しいことはありません。プリキュアを知らない人でも楽しめる、本当に傑作です。僕は娘と一緒に何度でも鑑賞するつもりです。

 

なお、プリキュアをほとんど知らない状態で観た僕でも楽しめたのですが、流石に何も知らないままで見るのは気が引ける・・・という人のために、東映アニメーションが公式で『3分でわかる HUGっと!プリキュア』という動画をYoutubeで公開していますが、これが、過去のTV映像を流すだけで何の説明ナレーションも無い動画で、とても「3分でわかる」ような内容では無いので驚きました。これで分かるのは卓越した観察眼と考察力を有する人だけです。そんな人は予習なしでも間違いなく本作が楽しめると思います。プリキュアの入り口は広いが険しいのかも知れません。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』に乗れなかった

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逆張り野郎と思われても仕方が無い事を書きますが、映画『ボヘミアン・ラプソディ』に乗れませんでした。

 

僕は映画館で年間40本くらい映画を観る程度に映画好きな人間なのですが、『ボヘミアン・ラプソディ』が大流行りしていた昨年末、年間5本くらいは映画館で観る程度に映画が好きな妻が先に鑑賞したところ「これはマスト案件です。是非見てみて下さい。マスクがずぶ濡れになりました(=それくらい泣いた)」と大絶賛。僕と妻は面白かった映画を「マスト案件なので見て下さい」と半ば強制的に鑑賞させることを年に1~2本しており、今まで『シン・ゴジラ』とか『この世界の片隅に』などはお互い鑑賞した後にワイノワイノキャッキャウフフと感想を言い合うのがいつもの定番だったので、今回も「よっしゃ! ワシもいっちょ鎖骨に涙を溜めちゃるか!(=それくらい泣くぞ!)」と活き込んで鑑賞したところ、その、なんと言うか、普通? という感想しか沸きませんでした。

物語は、そもそも意外性を求める作品でも無いし、事実を元にしているので、まぁ、普通でも仕方が無いと思うのですが、演出も普通だし、脚本も、随所に粋なところはあるけれど、泣くには至らず、ただ評判通りライブエイドのシーンはめちゃめちゃ良かったのと、演者は全員素晴らしいの一言に尽きると思いますが、総合すると「見どころもあるけれど普通の映画」というところに落ち着き、妻に「普通だったし、全然泣けなかった」と述べたところ「あれで泣けないなんて人間の心が無いの?」という金言を賜ることとなりました。ちょっと待ってくれ! 僕ぁ涙脆い方だぞ! 『世界の中心で愛を叫ぶ』で(観たの十余年前だけれど)号泣するようなピュアな心も持ってるし、『カールじいさんの空飛ぶ家』なんて冒頭10分で泣くくらい繊細だわい!

で、その日から世間的な評価との乖離の原因は何だろうと考えました。単純に〝合わなかった〟という一言で片づけるには、あまりにも「ボヘミアンラプソディ」は世間に受け入れられているし、今まで世間的に高評価だった作品は、世間と同じくらい楽しめる平均的な感性を持ち合わせていると自負していたので、何だかモヤモヤが残りました。何が合わなかったのか。その原因は何だろうか。「泣くぞ!」と活き込んで鑑賞したのがダメだったのだろうか。でも『この世界の片隅に』も「泣くぞ!」と思って鑑賞したところ呼吸困難になるくらい号泣しました。監督のブライアン・シンガーとの相性が悪い(過去作もイマイチ乗れない作品が多いので)という事や、監督が途中降板したことによる歪が気になった事も遠因だと思いましたが、決定打に欠けました。いったい何がダメだったのか、答えが出ないまま日々は過ぎていきました。

そんな悶々の中、ある日、実家の母に会いに、子供と一緒に遊びに行きました。母は1人レイトショーを月2回ほど決め込む程度に映画好きなので『ボヘミアン・ラプソディ』も観ているかな? と聞いてみたところ、鑑賞済だったので感想を聞いてみました。すると「うーん、みんな泣いたって言ってたから期待して観たけれど、泣けなかったし、普通だったよ」という、僕と全く同じ感想だったので、一番の要因はという事に落ち着きました。『ボヘミアン・ラプソディ』に乗れない、呪われし闇の血族が我が一族です。血が原因なら仕方が無いわ。これ以上ないくらいすっきりした。

 

因みに映画『アクアマン』を見た母の感想はただ一言「最高だった」という、これもまた僕と全く同じ感想だったので、やはり信頼できる人だなと思いました。