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映画『ボヘミアン・ラプソディ』に乗れなかった

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逆張り野郎と思われても仕方が無い事を書きますが、映画『ボヘミアン・ラプソディ』に乗れませんでした。

 

僕は映画館で年間40本くらい映画を観る程度に映画好きな人間なのですが、『ボヘミアン・ラプソディ』が大流行りしていた昨年末、年間5本くらいは映画館で観る程度に映画が好きな妻が先に鑑賞したところ「これはマスト案件です。是非見てみて下さい。マスクがずぶ濡れになりました(=それくらい泣いた)」と大絶賛。僕と妻は面白かった映画を「マスト案件なので見て下さい」と半ば強制的に鑑賞させることを年に1~2本しており、今まで『シン・ゴジラ』とか『この世界の片隅に』などはお互い鑑賞した後にワイノワイノキャッキャウフフと感想を言い合うのがいつもの定番だったので、今回も「よっしゃ! ワシもいっちょ鎖骨に涙を溜めちゃるか!(=それくらい泣くぞ!)」と活き込んで鑑賞したところ、その、なんと言うか、普通? という感想しか沸きませんでした。

物語は、そもそも意外性を求める作品でも無いし、事実を元にしているので、まぁ、普通でも仕方が無いと思うのですが、演出も普通だし、脚本も、随所に粋なところはあるけれど、泣くには至らず、ただ評判通りライブエイドのシーンはめちゃめちゃ良かったのと、演者は全員素晴らしいの一言に尽きると思いますが、総合すると「見どころもあるけれど普通の映画」というところに落ち着き、妻に「普通だったし、全然泣けなかった」と述べたところ「あれで泣けないなんて人間の心が無いの?」という金言を賜ることとなりました。ちょっと待ってくれ! 僕ぁ涙脆い方だぞ! 『世界の中心で愛を叫ぶ』で(観たの十余年前だけれど)号泣するようなピュアな心も持ってるし、『カールじいさんの空飛ぶ家』なんて冒頭10分で泣くくらい繊細だわい!

で、その日から世間的な評価との乖離の原因は何だろうと考えました。単純に〝合わなかった〟という一言で片づけるには、あまりにも「ボヘミアンラプソディ」は世間に受け入れられているし、今まで世間的に高評価だった作品は、世間と同じくらい楽しめる平均的な感性を持ち合わせていると自負していたので、何だかモヤモヤが残りました。何が合わなかったのか。その原因は何だろうか。「泣くぞ!」と活き込んで鑑賞したのがダメだったのだろうか。でも『この世界の片隅に』も「泣くぞ!」と思って鑑賞したところ呼吸困難になるくらい号泣しました。監督のブライアン・シンガーとの相性が悪い(過去作もイマイチ乗れない作品が多いので)という事や、監督が途中降板したことによる歪が気になった事も遠因だと思いましたが、決定打に欠けました。いったい何がダメだったのか、答えが出ないまま日々は過ぎていきました。

そんな悶々の中、ある日、実家の母に会いに、子供と一緒に遊びに行きました。母は1人レイトショーを月2回ほど決め込む程度に映画好きなので『ボヘミアン・ラプソディ』も観ているかな? と聞いてみたところ、鑑賞済だったので感想を聞いてみました。すると「うーん、みんな泣いたって言ってたから期待して観たけれど、泣けなかったし、普通だったよ」という、僕と全く同じ感想だったので、一番の要因はという事に落ち着きました。『ボヘミアン・ラプソディ』に乗れない、呪われし闇の血族が我が一族です。血が原因なら仕方が無いわ。これ以上ないくらいすっきりした。

 

因みに映画『アクアマン』を見た母の感想はただ一言「最高だった」という、これもまた僕と全く同じ感想だったので、やはり信頼できる人だなと思いました。